日記

2023-02-06 10:45:00

お雛様修理

気軽に引き受けたお雛様の修理

一年近く、頭の片隅で

デザインなどしていたつもりだったのに

いざ、作業に入ってみたら

思いがけないことばかりの連続

 

実は、初めから、目の前のお雛様のセンスがつかめなかった💦

 

それでも引き受けてしまったのは、

依頼主の

「どうしてくれてもいい」

の一言

 

うかつにも、自分に「どうにかできる」とうぬぼれてしまった(/ω\)

 

アレコレイメージして、絵も描いてみて

必要と思われる部品や道具、材料など揃えて

では、と、改めて彼女(お雛様)の前に座り

「では、よろしく。可愛くしてあげるね」

 

そうしてしばらく眺めていたら、

その、存在感とでもいうものに

圧倒されてしまった

 

手に負えない、というより、手が届かない

別世界の存在

厳然と立ちはだかる別世界を前に圧倒され、弾かれてしまった。

古今雛旧 (2).JPG

着物も、頭の大げさな飾りも、扇も、時代を思わせる異質なセンスの上、

長い時間の経年劣化も激しくて触るのも怖い。

 

私の持っていた7段のお雛様より圧倒的に大きくて

顔だちも全然違うし、頭の飾りも私には不可解

 

私のやったことは、

まず、そっくりな飾りがあったら、買って取換えようと、

ネットショップで、「お雛様、飾り、冠、パーツ・・・」

と検索。

出てくるものは、新しいタイプの物ばかりで、

ピンとくるものは皆無

 

次に、彼女の素性を洗おうと、また、ネット検索

探した末にやっと見つけた!

YouTubeで、紹介されていた。

 

日比谷家に伝わる「江戸の古今雛」

大きさ、顔だち、髪型、十二単らしき着物の様子もそっくり

頭の飾りもほぼ同じ

着物の裾の刺繍は全く同じ

古今雛裾刺繍.JPG

うわー、単なる美的センスだけじゃなくて、

歴史的価値があるんだ~

 

持ち主の自由ではあるけれど、

私には、歴史の価値を捨てる勇気はありません。

歴史的証拠の遺棄も、ましてやこの手で破壊抹殺なんて人類に対する罪でしょう?

 

で、決めたこと

1 一切捨てない

2 修復不可能な直しはしない

3 過去の美意識、センスには触れないで、新しい付属品を作る。

こうすれば、いつでも修復可能だと思う。

 

すごく気が楽になって、楽しく冠つくりにとりかかれる。

これもネットを漁って、ペット用の金の冠を取り寄せました。

今、それを飾ってるんだけど、

 

古今雛修理中 (2).JPG

これも、いつものように

試作、失敗、やり直しの連続

予想以上の時間がかかっている。

 

無駄にした材料も数知れず

おかげで、

没にした造花やビーズ作品で周囲が華やいでいる。

IMG_7173.JPG

己を知らないと

実力以上の負担を負って苦しむことになる

 

でも、苦しんだから、己が分かった。

余計な飾りで明るい部屋になった。

 

手仕事の細かい技とか、材質については

多くの発見があった。

 

さらに、お雛さまって、彫刻や他の人形と違い、

正面から見るだけなので、

二次元(平面)的な美しさを大事にしている!!

 

だから、冠がやたら左右に大きく張り出しているんだ。

ナポレオンの帽子のかぶり方と同じね(^_-)-☆

nigaoe_napoleon.png

余談ながら、ナポレオンがみんなと違うかぶり方をしたらしいんだけど、

あの人、絵とか鏡映りとかを気にしたんじゃない?

 

というわけで、苦労に無駄はないのかも。

 

今日の言葉:生きてる=新しい体験=成長